米どころ北陸の米心石川が冷凍市場へ本格参入。1年で売上は5倍成長。冷凍技術で米飯の可能性を広げる

日本の米文化を支える米飯企業米心石川は、米の販売だけでなく、炊飯部門を強化し、2022年から冷凍食品事業に本格参入。当初は緩慢冷凍での試験運用でしたが、さらなる品質向上と生産量拡大を目指し、最先端の特殊冷凍機「アートロックフリーザー」を導入しました。これにより、お米の美味しさをそのまま閉じ込めた高品質な冷凍食品の製造が可能に。国内外からの需要が高まる中、米心石川のお米へのこだわりと冷凍技術が掛け合わさり、お米の可能性を広げています。
基本情報
- 会社名:株式会社米心石川
- 都道府県:石川県
- 業種:食品製造業(米穀事業、炊飯事業)
- 凍結品目:米飯
- 品質面での課題:従来の緩慢冷凍では「白蝋化」が避けられなかった
- ビジネス面での課題:従来の緩慢冷凍では製造量に限界があった
- 導入機種:アートロックフリーザー
導入背景:冷凍商品の品質向上・生産量拡大を目的に導入
米心石川は、年間売上約100億円の米飯事業を展開しています。主に「米穀部」と「炊飯部」に大きく分かれ、売上比率は約8:2。炊飯部では、3年前(2022年)に冷凍事業を新たに開始しました。当初は緩慢冷凍で試験的にスタートし、品質向上と生産量の拡大を目指して最新技術の急速冷凍機「アートロックフリーザー」を導入。本格的な事業化へと舵を切りました。

導入後に実施したこと:ご飯の品質、生産能力が向上。主力商品の冷凍キンパは1日約800本製造
米心石川の冷凍商品の主力は韓国風海苔巻き「キンパ」で、売上の50%を占めています。他にも、カレーライス(30%)、焼きおにぎり(10%)、米粉のマフィン(10%)を展開。ここ一年で商品が拡充されました。カレーライスは、ルーとご飯が一体化した状態で冷凍していて卸先でも人気の商品です。品質面では、アートロックフリーザー導入後、特にご飯の品質が向上しました。従来の緩慢冷凍では避けられなかった「白蝋化」が大幅に軽減され、ふっくらとした食感がそのまま維持されるようになりました。
一日の製造量は、キンパ約800本、カレー約400パック。現在の生産サイクルは1回ですが、今後は2回転させることで、さらに生産能力を高める計画です。省力化を進めるため、シーラーや自動充填機の導入も検討中。生産効率を向上させながら、より多くのお客様に高品質な冷凍食品を届ける体制を整えています。


導入後の成果:冷凍事業の売上は1年で5倍に成長。来年度は売上1億を目指す
冷凍事業の売上は急成長しており、炊飯部の売上20億円のうち、冷凍食品は昨年度5,000万円です。割合でみると2.5%ですが、前年比でみると500%(5倍)成長を記録。今年度は1億円を目標に、さらなる拡大を図ります。


また、小売店・飲食店への卸販売、さらには海外輸出にも積極的に取り組んでいます。おにぎりや寿司など日本食は世界でも評価が高く、国産のお米を使った高品質な冷凍食品への注目が高まっています。

OEM製造の相談も増えており、冷凍のシャリ玉やオリジナルのカレールーと合わせた冷凍カレーライスなど、冷凍技術を活かした連携が進行中です。「冷凍技術を活用して高品質な商品を届けたい」という共通の想いががベースにあるので、安心して連携できます。
米不足への冷凍の貢献性
炊飯部で販売している商品は、日配品(デイワン商品)です。消費期限の短いこれらの商品と異なり、冷凍は廃棄ロスを大幅に削減できるため、持続可能な食の未来にもつながります。「お米がない」と騒がれていますが、ロスを減らすことにも目を向けるべき。昨今の米不足や価格高騰に対して、冷凍技術は大きく貢献することが期待されます。
今後の展開:石川県のお米の良さを再発見し、その魅力を世界に届けたい
石川県のお米の良さを再発見し、その魅力を世界に届けることを、米心石川は目指しています。石川には冠品種の「ひゃくまん穀」があり、冷凍商品にもこの品種を使っています。大粒で冷めても美味しく、粘りが強い特徴があり、冷凍してもその魅力が損なわれないので、もしかすると「ひゃくまん穀」が冷凍と相性がよいのではないかと検証中です。
冷凍に向いているエビデンスが取れれば、冷凍品を作りたい企業に卸すことができ、新しい商圏開拓に繋がるかもしれません。農家さんにとっても、そういったお米の新しい価値や魅力を見える化すると、励みになります。農家さんに喜んでもらい、農家さんが潤うような経済圏を作っていくことは、日本の文化を支えるために必要なことで、お米の企業として自分たちが大切にすべきことです。


アートロックフリーザーの導入は、米心石川にとって食の可能性を広げる大きな一歩になりました。デザインも先進的で、現場のみんなもワクワクしながら製造しています。これからも、冷凍技術を駆使しながら、より多くの人々に日本のお米の美味しさを届けていきます。