クックフリーズとは?クックチルとの違いや各調理法のメリット・デメリットを解説

こんにちは。急速冷凍機の厳選比較サイト「春夏秋凍」のライターチームです。「クックフリーズ」と「クックチル」は、食品の調理と保存を組み合わせた方法で、食品の安全性や品質維持が共通しています。この記事では両者の違いやメリット・デメリット、注意点について解説します。参考にしてください。
目次
「クックフリーズ」と「クックチル」の定義・調理法について
まずは「クックフリーズ」と「クックチル」の定義・調理法について解説していきます。
クックフリーズとクックチルは、それぞれにおいて定義・ルールがありますので、どの調理システムが該当するのか確認しておきましょう。
クックフリーズとは
まずはクックフリーズの定義・特徴について解説します。
クックフリーズとは、食品の調理と冷凍保存を組み合わせた調理システムです。
クックフリーズは「加熱調理後30分以内に凍結させ、90分以内に中心温度を-5℃以下まで冷凍、最終的には-18℃まで急速冷凍した上で保存し、食事を提供するタイミングで加熱調理する調理システム」のことを指します。
クックフリーズの調理法は、食品製造業やフードサービス業界で広く使用されています。たとえば、大量の調理済み食品を一度に凍結しておき、需要があるときに解凍して提供することができます。また、個別にパッケージされた冷凍食品として市販されることもあります。
ですが、クックフリーズを行う際には、適切な温度管理と衛生管理が非常に重要となります。食品を適切な方法で冷凍し、適切な温度で保存することで、品質の劣化を防ぎ、食品の安全性の問題を回避できます。
※関連記事:クックフリーズとは?クックチルとの違いやメリット、デメリットを解説
クックチルとは
続いてクックチルの定義・特徴について解説します。
クックチルとは、食品調理における一種の調理法と保存方法を組み合わせた調理システムです。クックチルのチルはチルドを意味しています。
クックチルは「加熱調理後30分以内に冷却し、90分以内に中心温度を3℃以下まで急速冷却した上で0~3℃の温度を保ち、食事を提供するタイミングで加熱調理する調理システム」のことを指します。
クックチルの調理法は、食品製造業や飲食店などで一般的に使用されており、たとえば、大量の食品を事前に調理し、注文があるたびに必要な分だけ温めて提供することができます。また、保存が必要な場合は、大量に調理してからクックチル法で保存し、必要に応じて温めて提供することができるシステムです。
クックサーブとの違い
「クックサーブ」は、「クックフリーズ」「クックチル」と混同されやすい言葉です。クックサーブは、調理から提供までをその都度行う方法です。調理者の発想や技術が反映されやすく、個性的な料理を作りやすいという特徴があります。
「クックフリーズ」と「クックチル」で共通する点

新調理システムとして「クックフリーズ」と「クックチル」の定義について解説しましたが、両システムには共通する点があります。
「クックフリーズ」と「クックチル」では下記のような共通点が挙げられます。
- 食品の調理と保存方法を組み合わせたシステム
- 食品の保存性・安全性を向上させる
- 風味や栄養価の品質維持ができる
- 需要量に応じて食事提供ができる
- 効率性が高い調理システム
食品の調理と保存方法を組み合わせたシステム
「クックフリーズ」と「クックチル」の共通点は、いずれも食品の調理と保存方法を組み合わせた手法であることです。両方の方法では、食品を調理した後に冷却し、保存します。
クックフリーズの場合は冷凍による保存方法、クックチルの場合は冷却(冷蔵)による保存方法で、異なる点がありますが、調理×保存の組み合わせという点では共通したシステムと言えます。
食品の保存性・安全性を向上させる
「クックフリーズ」と「クックチル」は食品の保存性・安全性を向上させる点で共通しているシステムです。どちらの方法も、食品の保存期間を延ばすことができ、食品を調理した後に急速に冷却・冷凍することで、微生物の繁殖や食品の品質劣化を抑えます。細菌増殖の危険性を下げられることから安全性も高くなります。
風味や栄養価の品質維持ができる
「クックフリーズ」と「クックチル」は風味や栄養価をできるだけ維持した保存方法という点で共通しています。どちらのシステムも食品の風味や栄養価を保つことを重視し、美味しさを保てます。適切な冷却や凍結により、食品の質が損なわれることなく保存できる画期的な調理システムです。
※関連記事:急速冷凍のやり方|3つの方法や4つのメリット、急速冷凍に適した食材も解説
需要量に応じて食事提供ができる
「クックフリーズ」と「クックチル」はどちらも保存性に長けているため、需要量に応じて食事提供ができる点で共通しています。どちらの方法も、需要があるときに必要な分だけ調理し直すことができ、保存された食品を適切に解凍・加熱することで、必要な時に食品を提供することができます。
効率性が高い調理システム
「クックフリーズ」と「クックチル」は効率性が高いシステムという点で共通しています。食品の大量調理や需要予測に基づいた調理を可能にし、効率的な運営ができる点で共通しています。
上記のように「クックフリーズ」と「クックチル」は多くの共通点があるシステムのため、メリットとなる点も共通しています。
※関連記事:クックチルシステムとは?メリット・デメリット、病院・学校給食での導入事例を紹介
「クックフリーズ」と「クックチル」の違い

では「クックフリーズ」と「クックチル」にはどのような点で違いがあるのでしょうか。
ここでは「クックフリーズ」と「クックチル」の違いについて詳しく解説します。
クックフリーズとクックチルでは下記のような異なる点が挙げられます。
- 保存方法が異なる
- 食品の保存期間が異なる
- 味や食品の状態に違いがでる
保存方法が異なる
クックフリーズとクックチルの違いは、まず「保存方法が異なる」という点です。
前述した通りクックフリーズは急速冷凍で保存する方法で、クックチルは急速冷却で保存する方法です。
冷却と冷凍では温度差があり、食品の状態なども異なってきますので重要な相違点の1つとなります。
食品の保存期間が異なる
クックフリーズとクックチルの違い、続いては「食品の保存期間が異なる」という点です。
冷却と冷凍では食品の保存期間が異なります。
クックフリーズは冷凍のため、保存期間は約1年ほどです。
クックチルは冷却のため、保存期間が約4〜5日間となります。
そのため、保存期間だけを見るとクックフリーズの方が保存性に優れていると言えます。
味や食品の状態に違いがでる
クックフリーズとクックチルの違い、続いては「味や食品の状態に違いがでる」という点です。
クックフリーズは冷凍状態で保存されるため、冷凍の保存の仕方によっては食品の細胞破壊が発生し、品質が下がる可能性があります。
クックチルは冷蔵状態で保存されるため、食品の細胞の劣化がしにくく、風味や食品の状態がクックフリーズに比べて保たれやすいです。
上記のようにクックフリーズとクックチルには異なる点がさまざまありますので、どちらの方法が適しているのか導入を検討する際は事前に確認しておく必要があります。
クックフリーズとクックチルの導入メリットについて

クックフリーズとクックチルには、それぞれメリットがあります。
両システムのメリットについて、詳しく見ていきたいと思います。
クックフリーズのメリット
クックフリーズのメリットは、下記のような点が挙げられます。
長期保存ができ衛生面で安心
クックフリーズは冷凍保存するため、長期保存しても品質の劣化がしにくいというフリーズならではのメリットがあります。長期間保存して在庫を持つようなビジネスの場合には冷凍保存のクックフリーズが向いています。食中毒などの衛生面で安全性が高く、衛生管理のしやすさでもメリットがあります。
柔軟性が高い
クックフリーズは必要な時に必要な分だけ再加熱して食事を提供することができるため、クックチルと比較するとクックフリーズの方が柔軟性に長けている調理と言えます。
フリーズ保存は在庫管理がしやすい
クックフリーズは冷凍で長期間保存が効くため、在庫の管理が非常にしやすいです。フリーズ保存は品質の劣化もしにくい点から需要と供給量を把握して在庫を管理しロスを少なくできるメリットがあります。
多種多様な食品を保存できるため、献立・メニューが増やしやすい
クックフリーズは多種多様な食品を保存することができます。クックチルでは保存できないような食品でもクックフリーズでは保存することができたりしますので、食品のバリエーションを増やすことができるメリットがあります。
上記のように冷蔵、フリーズの保存方法によってメリットは異なってきます。
クックチルのメリット
クックチルのメリットは、下記のような点が挙げられます。
食品の品質維持力が高い
クックチルは食品の品質維持力が高い保存方法になります。
そのため、食品の品質維持が重要視される場合にはクックチルの調理システムが採用されることが多いです。
短期間の保存に向いている
クックチルは短期間の保存性に長けているため、保存してから短期間で再加熱などを行う場合に向いています。たとえば学校の給食や病院、介護施設、医療、その他施設などの食事提供は長期的な保存を不要とする場合も多いため、クックチルシステムを採用するケースが多いです。
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作業工程の効率性が高い
クックチルは大きな厨房・キッチン(セントラルキッチン)、また工場などで大量に食事をまとめて調理して保存するため、作業効率・生産効率を上げることができます。そのため大量の食事を提供する場合に向いています。
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クックフリーズとクックチルの導入デメリットについて

クックフリーズとクックチルには、それぞれデメリットもあります。両システムのデメリットについて、詳しく解説します。
クックフリーズのデメリット
クックフリーズのデメリットは、下記のような点が挙げられます。
解凍に時間がかかる
クックフリーズは冷凍保存のため、解凍に時間がかかるというデメリットがあります。大型の食品や凍結が深い食品の場合、解凍には数時間以上かかることがあります。急いで調理を行う必要がある場合には、事前の計画が必要です。
風味と品質の変化が起こりやすい
クックフリーズは冷凍するため食材の風味や品質が変化する可能性が冷蔵よりも高くなります。品質変化は急速冷凍機械・機器によって変動したりするため一概に言えませんが、性能の悪い冷凍機で凍結させた場合、質が落ちるリスクがあります。また冷凍機の価格帯によってもパワーや機能が落ちる場合もあります。
上記のように調理システムによってデメリットとなり得る部分は異なります。
デメリットがある点も理解しておくことが重要です。
クックチルのデメリット
クックチルのデメリットは、下記のような点が挙げられます。
食品ロスが起こりやすい
クックチルは冷蔵保存のため劣化が早く、衛生・生産管理を徹底しないと食品ロスが起こりやすい調理システムです。
食品ロスはコストを圧迫させますので場合によっては、通常の調理法よりコストが掛かってしまうリスクもあります。
※関連記事:廃棄ロスにかかる費用はいくら?食品ロス削減への対策もご紹介
食品の品質劣化が早い
クックチルは食品の品質劣化が早いため、短期間に食事を提供する必要があります。保存期間が長くなると細菌が増加し食中毒などの問題も発生する可能性があるため注意が必要です。
保存スペースが必要
クックチルは冷蔵のため、食品の上に重ねて保存するようなことができず保存スペースが必要になります。保存スペースを確保するだけでもコストが必要となるデメリットがあります。
需要・供給量の管理が必要
クックチルは需要と供給量の徹底管理が必要です。数の想定を間違えてしまうと食品ロスとなり費用が圧迫されます。そのため生産管理を徹底する必要が出てきます。
クックフリーズとクックチルの注意点
クックフリーズとクックチルを導入する際に共通で注意すべき点があります。以下で、3つの注意点について解説します。
温度管理の徹底
クックフリーズやクックチルでは、食品の安全を守るために温度管理が重要です。決められた保存温度を守らないと、細菌が増えたり品質が落ちたりして、食中毒の原因になります。冷却だけでなく再加熱の際にも、適切な温度管理が必要です。
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HACCPに基づく衛生管理
クックフリーズやクックチルは、大量調理の現場でよく使われます。そのため、HACCPの考え方に沿った衛生管理が欠かせません。調理器具や保存容器は清潔に保ち、交差汚染を防ぎましょう。また、冷蔵庫や冷凍庫の温度を定期的に記録し、適切な状態が保たれているか確認することも大切です。
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コストの考慮
クックフリーズやクックチルを導入するには、それぞれに合った設備が必要です。クックチルには急速冷却用のブラストチラーや冷蔵庫、クックフリーズには急速冷凍のためのショックフリーザーや大型冷凍庫が必要になります。設備の導入費用や維持費も考慮し、事業規模や提供する料理に合った方式を選びましょう。
まとめ
今回は「クックフリーズ」と「クックチル」の定義・違い、メリット・デメリットなどについて解説しました。
クックフリーズとクックチルの違いがあいまいだった人も、明確に違いが理解できたかと思います。
これからクックフリーズやクックチルなどの導入を考えている担当者は、ぜひ今回の記事を参考に検討してみてはいかがでしょうか。