冷凍庫の温度管理と冷凍方法のコツ|冷凍庫と冷蔵庫の設定温度の違いを解説

こんにちは。急速冷凍機の厳選比較サイト「春夏秋凍」のライターチームです。
冷凍することで、食品の保存期間は格段に延びます。冷凍庫は食品を安全に保つことができる温度に設定されているので、食品の保存に関しては有効な手段です。冷凍することのメリット、デメリットを知り、適切な冷凍方法を知ることで、より効果的な保存をすることができます。
目次
冷凍庫の役割と基準温度

なぜ、冷凍することで長期間の保存ができるようになるのでしょうか?温度を低下させることで、細菌の活動を抑制することができるからです。食品の腐敗は、細菌が活動、増殖して、食品内の成分を分解し発酵させることで起こります。
ですので、細菌の活動を抑えることができれば、食品の腐敗を防ぐことができます。また冷凍することで、食品の劣化を防ぐこともできます。劣化の原因は、酸化などの化学的作用によって栄養素や食感などが変わってしまうこと、酵素作用によってタンパク質が分解されてしまうこと、微生物によって腐敗してしまうこと、が挙げられます。
温度を下げることで、食品劣化の原因を抑えることができるので、冷凍することで食品を安全に保存することができます。どれくらい温度を下げれば、食品の保存において安全なのでしょうか?
一般的な基準となっているのが-18℃。この温度は、低温に強い細菌においても活動をほぼ停止させ、食品を約12ヶ月保存することができる目安となっています。冷凍庫の世界的基準も-18℃という数値が定められています。
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HACCPの温度管理における基準
2021年6月に制度化されたこともあり、HACCPは食品業界で浸透しつつあります。HACCPの温度管理における基準では、冷凍庫の温度基準は、-15℃以下です。責任者は、この温度基準を常に維持することが求められています。
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業務用冷凍庫の温度設定
出典:http://r-mugendou.com/item/heroskin.cgi?table=chubo&search=121221160203002&skin=skin2.htm
業務用の冷凍庫は、家庭用の冷凍庫よりも低温に設定されていて、-20℃~-30℃という温度設定が一般的です。冷凍庫の開け閉めを頻繁に行うと、庫内の温度がどうしても上がってしまうので、業務用の冷凍庫は常時-18℃以下を保つことができる温度に設定されています。
また、-20℃という温度では、品質の劣化が進んでしまう食品があるので、-60℃近くまで温度を下げることができる冷凍庫もあります。例えば、マグロは鮮度維持が難しく、すぐに色が変わってしまいます。-35℃という低温では、変色をほぼ抑えることができ、-60℃になるとほぼ変わらない鮮度を保つことができます。
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温度管理と適切な冷凍方法

ほぼ全ての食品において、温度を下げれば下げるほど、鮮度を保つことができます。しかし、冷凍庫の温度を下げれば、それだけコストもかかります。
温度設定を変えずに、なるべく効率的に冷凍するためにはどうすれば良いのでしょうか?効率的に冷凍するためには、温度の低い状態を維持できるよう温度管理をすること、食品を適切に保存することが重要となります。
低温を維持するための方法
冷凍庫内の温度を上げないように、開け閉めは極力少なくし、調理加工した食品は十分に冷却してから冷凍庫に入れます。隙間ができないように食品を詰めて保存すると、開け閉めの際に暖かい空気に触れる面積を小さくすることができます。また、食品同士がくっ付くことで互いに保冷材の役割を果たします。
食品を適切に保存する方法
重要なことは、食品をなるべく早く冷凍させることです。空気に触れないようにするために、できれば真空パックが望ましいですが、ラップなどをしっかりと巻きます。食品を乾燥から守るためもありますが、空気は熱伝導率が悪いので、空気に触れていると冷却するのに時間がかかります。
また、平らにして冷風が当たる表面積を大きくさせると冷却効果があります。アルミトレイにのせると、より効果的。アルミは熱伝導率がステンレスの約14倍高いので、冷却時間を短縮することができます。このように、低温を維持させ食品を素早く冷凍させることで、コストをかけずに効果的に冷凍保存することができます。
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冷凍庫の温度が上がる原因
外から空気が入ったり、中の冷気が漏れたりすることにより、冷凍庫内の温度は上昇します。ここでは、冷凍庫の温度が上がる主な原因を5つに分けて解説します。
ドアパッキンが汚れている
冷凍庫のドアパッキンが汚れていると、完全にドアが閉まらず、冷気が外に逃げてしまいます。また、ゴムパッキンの劣化により、冷凍庫の温度が上がっている可能性もあります。ゴムパッキンを掃除して、ドアが完全に閉まらない原因を突き止めましょう。劣化により、ゴムパッキンに破れや穴があると、庫内が外気に触れやすくなり、食品の劣化につながります。
ドアが半開きになっている、正しく閉まっていない
冷凍庫のドアが正しく閉まっていないと、外の温かい空気が入り込み、庫内の温度が上がってしまいます。上記のドアパッキンの汚れや劣化のほか、冷凍庫に食品を詰め込みすぎることで、ドアが半開きになっていることもあります。冷凍庫に食材を保管する際は、70〜80%を目安にしましょう。
ドアの開閉頻度が多い
冷凍庫のドアは開閉するたびに冷気が逃げ、その分だけ外気が入り込むため、庫内の温度が上がります。また、コンプレッサーに負担がかかります。開閉頻度が少なくても、ドアを開けている時間が長ければ同様に、庫内の温度は上昇します。
庫内に霜が付いている
頻繁にドアを開閉していたり、水分の多い食材を多く入れていたりすると、冷凍庫内に霜が付く場合があります。大量に発生した霜が冷却口に付着すると、冷気の循環が妨げられるため、庫内の温度が下がりにくくなります。とくに、ドア付近など外気に触れることが多い箇所は、温かい空気が結露して霜になりやすいため、注意しましょう。
設置場所が壁に近すぎる
冷凍庫は、気化熱を外に排出して、庫内を冷やしています。冷凍庫が壁に近すぎると、背面や側面の通風口が遮られて放熱ができず、冷却効果が下がってしまいます。冷凍庫は、壁から5cm以上離して設置しましょう。ただし、最近の冷凍庫は、背面の放熱スペースが不要な製品もあります。説明書をよく読み、放熱スペースが必要であれば、そのとおりにしましょう。
季節によって庫内の設定温度の調節は必要か
冷凍庫は、外気温の影響を受けやすいため、暑くなる夏は、冷凍庫内の温度も高くなりやすいと考えられています。そのため、夏場は温度設定を「強」に、冬場は「弱」にするとよいでしょう。ただし、室内の空調が適切に保たれている場合は、設定温度を調整する必要はありません。
冷凍庫と冷蔵庫の設定温度の違い

冷凍庫は、食品を安全かつ長期的に保存をするために使用します。
冷凍保存することのメリットはたくさんありますが、冷凍すると解凍時に品質が落ちてしまうというデメリットや、食品によっては冷凍に向いていない場合もあります。ですので、食品や用途によって保存の仕方は変わります。
短期的な保存や冷凍できない食品の保存では、冷蔵庫を使用します。冷蔵庫と言っても、庫内は様々な部屋に分かれているので、要注意。それぞれの部屋の設定温度は異なるので、きちんと把握することで最適な活用をすることができます。
冷蔵室の温度は1~5℃、野菜室は3~7℃、ドアポケットは6~9℃、チルド室は約0℃に設定されています。冷蔵庫は低温での保存が必要ですが、すぐに食べる食品や、凍らせてはいけない食品の保存に使われます。
ドアポケットは冷蔵室よりも温度が高く、開け閉めなどで温度変化があるので、調味料や卵などの保存に向いています。野菜室は冷気が直接当たらないよう設計されているので、冷蔵室よりも温度が高めになっています。
チルド室は、凍るか凍らないかギリギリの温度設定がされています。冷凍すると解凍時に品質が落ちてしまう肉や魚の短期的な保存には、チルド室が最も適しています。このように、食品や用途によって冷凍庫と冷蔵庫に分けるだけではなく、冷蔵庫の中を使い分けることで、より良い保存ができるようになります。
まとめ
冷凍庫で保存することで腐敗を防ぎ、食品を安全に保つことができます。しかし、冷凍保存に向かない食品もあるので、上手に使い分けることが必要です。また、少しの工夫でコストをかけずに効果的な冷凍をすることができるので、実践してみてはいかがでしょうか。
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