急速冷凍とは?温度や冷凍時間の定義、メリット、適した食品まで解説

こんにちは。急速冷凍機の厳選比較サイト「春夏秋凍」のライターチームです。
様々な冷凍食品に使われており、美味しい状態を保つために必須な”急速冷凍”という冷凍技術をご存知ですか?
急速冷凍とは、食品の品質を落とさずに冷凍でき、その状態を長期間キープすることができる凍結方法です。
一気に冷却・冷凍させることで、冷凍による食品細胞のダメージを限りなく防いで凍結させることができ、解凍後も冷凍する前の味や食感を楽しめます。
この急速冷凍の技術は、主に業務用として、大企業はもちろん中小企業や個人の飲食店まで、あらゆるところで活用されています。
家庭用の急速冷凍機能付き冷凍庫も、三菱電機やパナソニックなどの大手メーカーから販売されていますが、業務用と比べるとパワー不足のあるため、本来の急速冷凍の威力は発揮できません。
国内でNo1の実績を誇る急速冷凍のスペシャリストであり、5,000社以上の相談実績を持つ弊社が、”急速冷凍”の技術について、実際に使われている業務用急速冷凍機の例も踏まえて詳しくご紹介していきます。
業務用の急速冷凍の活用はますます進められています。ぜひ最後までご覧ください。
目次
急速冷凍の定義(技術、温度、原理、冷凍時間)

“急速冷凍”とは、その名の通り「急速に冷凍すること」を指します。
急速とはどれぐらいのスピード・時間かというと、日本冷凍食品協会の認定基準によれば、食品内の水分が氷に変わる温度であるマイナス5℃〜マイナス1℃の最大氷結晶生成温度帯を「概ね30分以内」で通過することが目安になります。

最大氷結晶温度帯
通常、水分が氷結晶に変わる際に膨張しますが、その過程で食品の細胞膜を氷結晶が突き破ってしまい、中から旨味成分やドリップが流れ出てしまいます。
これが、食材や食品を解凍した際に、美味しくなくなる最大の原因となります。
そのため、冷凍過程において、如何に食品細胞を壊さないか、ひいては氷結晶を肥大化させないで凍結させるか、が品質を保つ重要なポイントになります。
急速冷凍では、冷凍スピードを速くすることで氷結晶の肥大化を最大限防ぎ、冷凍の品質を保つことが可能となります。
※関連記事:急速冷凍機は温度が最も重要!凍結〜保管〜解凍工程ごとに解説
緩慢冷凍との違い
緩慢冷凍と急速冷凍の違いは、冷凍速度にあります。
緩慢冷凍
一般的な業務用冷凍庫も含めて、通常用いられる凍結方法です。家庭用冷蔵庫での冷凍もこれに当たります。
緩慢冷凍では、凍結スピードがゆっくりになります。そのため、食品の大部分を占めている水分が氷に変化する際に、体積が膨張し細胞を破壊してしまいます。
細胞破壊されたところから水分や旨味成分が流出してしまい、食感や味が悪くなり品質が落ちてしまいます。
急速冷凍
食品内の水分が氷結晶に変わる-5℃~-1℃の温度帯を30分以内に通過する凍結方法です。
凍結スピードが速く、食品内の水分が凍る温度帯を素早く通過させることができるため、氷の結晶の成長を抑制し、細胞破壊を限りなく防ぐことが可能となります。
食品の細胞を破壊しないので、鮮度、風味、食感を維持することができ、冷凍前の美味しさ、品質を解凍時に再現することができます。
急速冷凍を用いれば、食品の品質を落とさずに長期保存することができます。
この性質のために急速冷凍は業務用のあらゆる場所で活躍しています。
では、なぜそんなにも重宝されている技術なのか、導入することで具体的にどのようなメリットや効果があるのかを解説していきます。
急速冷凍ならではのメリットと効果
急速冷凍には、一般的な冷凍のメリットに加えて、急速冷凍ならではのメリットがたくさんあります。
今回は、そのうちの代表的な6つのメリットとそれによる効果をご紹介します。
生産効率を上げられる
言わずもがな、凍結スピードが速いため、一晩かかって凍結していたものがわずか数十分〜1時間程度で凍結が完了します。
短時間で冷凍できるので、その分同じ時間で冷凍できる量が何倍にもなります。
生産量を上げたり、その分の人手を減らしたりすることができるため、生産効率の向上、人件費の削減効果もあります。
ドリップが少なくなる
急速冷凍では食材の細胞が壊れにくいため、素材の味・品質を維持できます。凍結スピードが遅く氷結晶が大きくなってしまう緩慢冷凍では、細胞膜が突き破られて解凍時にドリップが漏れ出てしまいます。一方、急速冷凍では氷結晶が小さく生成されるため、細胞膜を突き破ることがほとんどなくドリップも出にくくなります。
できたての味を再現できる

食べ物が一番おいしい時はいつでしょうか?
時間が経って冷めた料理は美味しくありません…。やはり出来立てですよね。
急速冷凍は、機種によっては調理して熱いままの料理を即座に冷凍することが可能なので、出来立てのおいしい状態を閉じ込めることができます。
食品の細胞が破壊されないので、揚げ物でも解凍後も表面がカリッとし、サクサクした食感を楽しむことができます。
出来立ての状態が長期間もちますので、遠方のお客様に出来立ての味を楽しんでもらうこともできるのです。
※関連記事:【あんな食品まで?!】進歩し続ける食品の凍結方法
添加物を使わなくてすむ

急速冷凍は食品の細胞を破壊せずに冷凍でき、適切な保管状態であればその状態を長期間保存することが出来ます。そのため、時間が経つにつれて、味が劣化する、変色する、形が崩れてしまう、などといったこともありません。
したがって、保存料や着色料、安定剤、防腐剤などの添加物が不要になります。
添加物に頼らずとも食品を質の高い状態で維持できますので、健康面でもメリットのある商品を開発することができます。最近流行りの健康食品としても勝負できます。
※関連記事:【食品添加物のメリットとデメリット】問題点を解決する急速冷凍機とは
食品ロスを削減できる
質の良い状態で長期間保存ができるということは、食材や食品をいつでも利用できるということです。
使いきれなかった食材や、作り過ぎてしまった食品や料理を泣く泣く廃棄することがなくなり、食品ロスを削減できます。
それによって廃棄コストや仕入れコストもあわせて削減することができます。
※関連記事:廃棄ロスにかかる費用はいくら?食品ロス削減への対策もご紹介
品質にムラがない
緩慢冷凍の冷凍庫では、庫内の冷気の当たりやすさによって、食品毎に凍結時間に差が出てしまい、品質にムラが出てしまいます。
急速冷凍機では、食品に対して満遍なく冷凍させる仕組みが搭載されていることがほとんどですので、品質にムラがでません。
投入した食品すべてを均一な品質で、一度においしく冷凍することができます。
以上が急速冷凍の代表的なメリットと効果になります。
実際に、業務用では、このようなメリットを活かして多くの企業が売り上げを上げています。導入事例も多くございますので、気になった方は是非ご覧ください。
次に、急速冷凍に適した食材・食品はどのようなものがあるのか、詳しく解説していきます。
急速冷凍に適した食品とは?
では、急速冷凍に適した食材や食品にはどのような物があるのでしょうか。
鮮魚や刺身
鮮魚や刺身類は急速冷凍との相性は大変良いです。解凍後に、生と同じレベルの品質に復元することが可能です。刺身なら角がたった状態を復元できます。
そのため、冷蔵状態で流通したものより、獲れたてで急速冷凍した魚の方が鮮度がよく、品質が高いというケースもよくあります。
※関連記事:急速冷凍で鮮魚のビジネス拡大!水産加工・卸から飲食店まで必見
肉

牛肉、豚肉、鶏肉、ジビエまで、肉類の相性はバツグンです。ほぼすべての肉類で冷凍が可能です。
急速冷凍時の形状、サイズなども選びません。
ドリップはほとんど出ず、解凍時のクオリティが高いため、プロの目をもってしても生肉と解凍肉の違いを見分けられないこともあります。
※関連記事:【お肉の保存徹底ガイド】保存方法、賞味期限、解凍方法、急速冷凍
果物、野菜
果物や野菜類は、緩慢冷凍と同様に急速冷凍を用いても凍結が難しい部類の食材になります。
解凍後に柔らかくなってしまったり、ドリップがたくさん出てしまったりします。
しかし、使い方次第では冷凍前と遜色のない品質で使用することが可能です。例えば、野菜であれば解凍するとドリップが出てしまうので、解凍せず冷凍状態のまま調理に活用する、果物も解凍せず冷凍状態のまま加工する、もしくは半解凍で召し上がっていただくといった方法があります。生に戻すのは難しいですが、活用の余地は十分にあります。
※関連記事:野菜を急速冷凍して有効活用!農家に勧める収入アップ術
ご飯、パン、惣菜、お弁当など

急速冷凍は生鮮の食材のみに適していると思っていませんか?
実は、調理物や加工食とも急速冷凍の相性は大変良いのです。
ご飯やパン、揚げ物などの惣菜からお弁当まで、出来立ての熱い状態をそのまま閉じ込めることができます。
そのため、近年は食品製造業や飲食店、仕出し屋などでの利用が急速に進んでいます。
では、実際にこれらの食品を高品質に冷凍するには、どういった機械が必要なのでしょうか?
※関連記事:冷凍食品専門店が急増する理由|ミシュラン獲得店が使う最新冷凍技術
家庭用冷蔵庫・冷凍庫で急速冷凍はできない?
一部の家庭用冷凍庫にも急速冷凍モードは搭載されていますが、冷却スピードや温度の安定性は業務用と比べると大きく劣ります。十分に速く冷やせないため、氷の結晶が大きくなり、解凍時にドリップが出て品質が落ちやすくなります。
中心部まで短時間で凍らせる本格的な急速冷凍を実現するには、-30〜40℃で一気に冷却できる業務用の急速冷凍機が必要です。
※関連記事:急速冷凍機の価格、費用対効果を詳しく解説
業務用の急速冷凍機の種類と特徴を紹介
急速冷凍に関する様々なメリットや相性の良い食材・食品を紹介しましたが、これらを実現する業務用の急速冷凍機は実際にどのようなものがあるのか、紹介していきたいと思います。
エアブラスト冷凍機
普通の冷凍庫と同じように冷風で凍らせますが、-30℃~-40℃の冷風を吹きつけて凍結させます。
エアブラスト式の急速冷凍機は数多く出回っていて、中でも有名なものとしてショックフリーザーやブラストチラーがあります。
ブラストチラーは熱い食品をチルド温度帯まで冷やす機械のことを指し、ショックフリーザーはチルド温度帯から-18℃以下まで冷やす機械のことを指します。
エアブラスト式の急速冷凍機は冷風を食品に吹きつけるため、乾燥してしまうのがデメリットです。しかし、性能が高い機種を選べば乾燥を防ぐような工夫がされていますので、よく調べてから選ぶようにしましょう。
エアブラスト式の急速冷凍機の中でも、特に性能が高くシェアも高いのがアートロックフリーザーです。この機械は、強風でなく優しい風をあらゆる角度から当てることで乾燥を防ぎながら急速冷凍し、調理したての料理を熱いまま凍結させることができる優れものです。
※関連記事:エアブラスト冷凍とは?メリット・デメリットについて
液体凍結機
液体凍結機は、食品をアルコールの浴槽に直接漬け込んで冷凍する、リキッドタイプ(液体凍結)の急速冷凍機になります。
液体は、空気に比べて熱伝導率が約20倍近く高くなりますので、冷えるスピードも早く、冷風型の急速冷凍機よりも速く凍ります。
しかし、真空パックに入れてからアルコール液に浸すのが通常運用となるため、真空パック時点でドリップが発生してしまうなどの注意点もあります。
※関連記事:液体凍結機のメリット・デメリットや価格、お得な導入方法など解説!
液体窒素冷凍機
-196℃の液体窒素を食品に直接噴きつけて凍結させます。
凍結スピードは格段に速くなりますが、液体窒素のランニングコストが非常に高くなります。
また、速すぎる凍結スピードは食品の身割れなどにもつながるため、注意が必要です。
※関連記事:【-196℃で瞬間冷却】液体窒素を利用した冷却装置のアレコレ
急速冷凍機の導入方法
急速冷凍機は高額な設備投資になるため、どの製品を導入すべきか悩むでしょう。デイブレイク株式会社では、冷凍の専門家によるサポートのもと、最適な急速冷凍機を試して選べる導入サポートを用意しています。1万社以上の相談実績もあるため、急速冷凍機の導入を検討中の方はお気軽にご相談ください。
※関連記事:スーパー・小売店が急速冷凍機を導入するメリットと活用事例をご紹介
補助金・リース・税制優遇制度
急速冷凍機の導入には、導入費用の負担を軽減するための補助金や税制優遇制度、リース契約の活用がおすすめです。
補助金では、新事業進出や製品開発を支援する制度があり、設備投資の一部を補助してもらえます。
税制優遇制度としては、中小企業経営強化税制があります。青色申告の中小企業が対象設備を取得すると、全額即時償却か取得額の10%(資本金3,000万円超は7%)の税額控除が受けられます。
さらに、リースを使えば、一括購入の負担がなくなり初期費用を抑えられます。リースは税制優遇制度との併用も可能です。
※関連記事:急速冷凍機を完全解説!メリットや事例、お得な補助金情報まで解説
急速冷凍機のおすすめ製品2選
これまでご紹介したように、急速冷凍は食品の品質維持に大きな力を発揮する技術です。実際に活用している企業も増えており、今後の食品業界では持っていて当然の技術になりつつあります。そこで、導入を検討されている方に向けて、おすすめ製品を2つご紹介します。
※関連記事:瞬間冷凍機のおすすめ機種や事例を紹介!お得な補助金情報もあります
アートロックフリーザー(空気凍結タイプ)
アートロックフリーザーは、デイブレイクが独自開発した次世代の急速冷凍機です。優しい冷気で食材を迅速に冷却し、乾燥・酸化・変色を防ぎながら品質を保持します。

特殊構造により霜取りが発生しにくく、10時間の連続稼働が可能です。冷凍時間の短縮でコスト削減に貢献し、品質の安定や故障リスクの低減にもつながります。
さらに、センサーによる温度や運転状況の管理でトラブルを未然に防ぎ、衛生管理や安定した品質維持にも対応できる高性能冷凍機です。外気の温度や湿度・投入する食品 物体の温度の変化に合わせ、常に最適な設定値に自動調整するため、チルドの食品はもちろん、熱々の調理したての食品も凍結可能となりました。
リジョイスフリーザー(液体凍結タイプ)
リジョイスフリーザーは、-35℃のアルコール液で食品を凍結する急速冷凍機です。液体凍結の高い熱伝導率を活用し、迅速に凍結することで品質劣化を抑えます。また、液体に浸すことで全体を均等に凍結できます。
ラインナップも1.5kg/hの小型から、オーダーメイド製作の大型まで揃っているため、お客様の規模や用途に合わせて選択できます。
まとめ
以上のように、急速冷凍には様々なメリットと効果があり、業務用の急速冷凍機を導入すると食品の品質維持や生産性向上につながることがご理解いただけたと思います。
食品の冷凍分野において急速冷凍の活用はますます進められていきますので、食品業者にとって急速冷凍の選択肢をもたないことは、むしろ今後の生存競争から取り残されることになります。
実際に急速冷凍で多くの企業が売り上げを伸ばしています。弊社は累計5,000社以上の相談実績を持っており、国内でNo.1の導入実績がありますので、事例も数多くご紹介できます。
ご興味ある方は是非お問い合わせください。